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【弁護士監修】電子署名法とe-文書法の違いとポイント
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目次
契約書や帳簿などの書類を電子化するには「電子署名」に関する知識が必須です。有効な電子署名をしておかないと、せっかく契約書を作成したつもりでも後に法的効力が認められないこともあります。
今回は電子署名の法的な効力について規定する「電子署名法」について、内容や要件をわかりやすく解説します。
電子署名法とは
電子署名法とは、電子文書内にある「電子署名」の定義や、電子署名を有効にするための「要件」「法的効果」「電子署名の認証機関」などについて定める法律です。正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」といいます。電子署名法で特に重要な条文は「2条」と「3条」です。これらの要件を満たさないと有効な電子署名にならず、法的効果が認められません。
※「2条」「3条」については次の章で説明します。
電子署名法の第一章では電子署名の定義が記載されており、第二章では電子署名に「法律上の推定効(※)が及ぶ場合」について定められています。第三章以下は電子署名の認証事業者や調査機関、雑則などの規定であり、電子署名を利用する一般ユーザーにとっての重要度は高くありません。
※本人が電子署名を施した場合、その電子データは本人によって作成されたものと推定する効力)
【ポイント1】電子署名法の2条署名
電子署名法2条の要件を満たさないと、そもそも法的な電子署名とは認められません。電子署名法2条には、電子署名の定義が書かれています。
第2条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。 一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。 二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。 |
わかりやすく解説すると、具体的には以下の2つの要件を満たす必要があるということです。
本人性
有効な電子署名となるには「本人が行った」ものでなければなりません。つまり署名の名義人が自分で電子署名する必要があり、他人が勝手に署名しても無効です。
非改ざん性
「電子署名のデータが改変されていないこと」を確認できなければなりません。つまり、後に改ざんされていると無効になりますし、改ざんを防ぐ措置をとる必要があります。
「本人性」と「非改ざん性」の2つを満たして初めて有効な「電子署名」
一般的には認証事業者から電子証明書を発行してもらい、本人性や非改ざん性を担保します。サインタイムなどのクラウドサービス型の電子署名も電子署名法2条の要件を満たします。
【ポイント2】電子署名法の3条署名
電子署名法3条では、法律上の「推定効」が発生するための要件が定められています。
「推定効」とは「本人が電子署名を施した場合、その電子データは本人によって作成されたもの」と推定する効力です。「署名者本人が電子データを作成した」と推定されるので、「本人が作成したものではない」と主張する側がその証拠を示さなければなりません。
推定効とは?
つまり、「推定効」があれば本人が作成したことが強く推定されるので、裁判になったときにも有効になる可能性が極めて高くなるのです。
第3条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。 |
電子契約では、本人のメールアドレス宛てに書類を送信し契約するため、書類に印鑑を押すだけよりもより本人が締結したと推定しやすい状況になります。このように推定効が及ぶ方法で契約データを作成すると、後に相手から「契約を締結した覚えがない」などといわれてトラブルが発生するリスクを大きく低減できます。
電子署名法で重要な固有性とは?
電子署名法3条が有効になるには、以下の要件を満たさねばなりません。
- 本人性
- 非改ざん性
- 固有性
つまり電子署名法2条の要件に加え、「固有性」の要件を満たす必要があります。固有性とは「本人だけが行える」ことです。たとえば本人が自ら電子証明書を取得して電子署名を施した場合には、固有性の要件を満たすと考えられます。
例えば、メールアドレス認証とSNS認証の両方を行って「2要素認証」が行われる場合、事業者立会型の電子署名サービスにも3条電子署名の効力が認められます。最近では政府の見解により、クラウドサービスなどの立会人型電子署名(一般に利用できる各社の電子署名サービス)を利用した場合も、有効な3条電子署名となりうることが明らかになっています。
参考サイト:経済産業省 電子署名法3条に関するQ&A
電子署名の認証業務とは?
法的に効力のある電子署名を施すには、本人性や非改ざん性などの要件を満たさねばなりません。そのためには第三者である「認証事業者」から電子証明書を発行してもらう必要があります。
電子認証事業者の種類や特定認証事業者の登録制度、認定基準や欠格条項、認定の更新や廃止、取消などを定めるのが電子署名法の第三章です。
e-文書法とは?
e-文書法は電子文書について定める法律です。従来、税法や会社法、商法、金融商品取引法などによって書面で保管しなければならなかった帳簿や請求書、領収書などの文書を電子データで保存するための要件が記載されています。
e-文書法で電子データによる文書保存をするには最低限、以下の要件を満たす必要があります。
見読性 | 電子データをパソコンのモニター上やプリントアウトするなどして、内容を確認できることが必要です。 「可視性」といわれるケースもあります。 |
完全性 | 電子データの原本が改ざんされず、正しい日付が記録された状態で保存されなければなりません。 具体的には電子署名とタイムスタンプを利用して有効な電子記録を作成し、データの改変 や消去を防止する措置をとるべきです。 |
機密性 | 第三者や無権利者による不正アクセスを防止し、電子データの機密性を維持する必要があります。 |
検索性 | 必要な電子データを検索してすぐに引き出せる状態にしておく必要があります。 |
e-文書法で押さえておくべきポイント
e-文書法によって多くの種類の書類を電子化できるようになりましたが、すべてができるわけではありません。免許証や許可証、条約で制限されているものなど電子化が認められないものもあります。文書を電子化する際には「電子化が認められるものかどうか」を正しく判断しましょう。
また基本的に要件を満たことが必要ではありますが、すべての文書ですべての要件を満たさねばならないとは限りません。見読性さえ認められれば電子化できる書面もあります。どの書類にどの要件が必要か、把握しておくことが重要です。
電子署名法とe-文書法の違い
e-文書法は「電子データとして文書を保存してもよいケース」を定めるものであるのに対し、電子署名法は「電子署名の有効性」を定める法律です。両者は目的や内容が大きく異なるので、混同しないようにしましょう。
e-文書法は広く各種の文書の電子化を認める法律です。対象には見積書や注文書、定款や株主総会議事録なども含まれており、税関係の文書に限りません。
一方、電子帳簿保存法は国税関係書類の電子化を認める要件を定める法律です。対象は国税関係の文書に限られており、税関係の電子保存要件について詳細に定められています。税務処理においてはe-文書法だけではなく、電子文書保存法の要件に従わねばなりません。
サインタイムは法務省の認定事業者
サインタイムは商業登記に利用可能な電子署名サービスとして、法務省の認定事業者に登録されています。e-文書法に定められる株主総会議事録にも利用いただける認定サービスです。
※下部に認定事業者一覧があります。
まとめ
- 電子署名には本人性・非改ざん性・固有性を満たす必要がある
- e-文書法は「電子データとして文書を保存してもよいケース」を定めるもの法律であり、電子署名法は「電子署名の有効性」を定める法律
- SMS機能を提供しているサインタイムは電子署名法3条の効力があるといえる
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