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建設現場での契約書を電子化するメリット・デメリットとは?
目次
2001年4月の建設業法改正により、建設業界の契約手続きの電子化が可能になりました。
加えて2021年5月のデジタル改革関連法によって、建設業界での電子化への移行がますます進んでいます。
現在、実際に契約書の電子化を考えている事業者も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、建設現場での契約書を電子化するメリット・デメリットを電子化の条件や流れを含めて詳しく解説していきます。
建設業界の電子化を検討している事業者の方はぜひ参考にしてみてください。
工事請負契約書の電子化とは
工事請負契約書とは発注者と請負人の間で交わされる契約書のことです。
工事請負契約書には法律によって記載しなければならない項目が16つあります。
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
- 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
- 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
- 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
- その他国土交通省令で定める事項
建設業法(令和4年法律第68号による改正)を参考
これらの項目が記載された工事請負契約書は法改正前までは、全て紙媒体で印鑑も必要でした。
法改正後の現在は、インターネット上で電子ファイルに押印・署名による電子化が可能です。
またデジタル改革関連法の施行によって、契約締結前の見積書も電子化も可能になりました。
このような建設業界の電子化の動きにより、現在多くの企業が電子契約サービスを導入し契約書の電子化を行っています。
この「脱ハンコ」を中心とする業界での電子化の動きは、ますます加速していくでしょう。
工事請負契約書の電子化をするメリット
工事請負契約書の電子化をするメリットは以下の3つです。
- 印紙代の削減
- 業務の効率化
- コンプライアンスの強化
それぞれ解説していきます。
印紙代の削減
電子化によって一番大きなメリットは印紙代の削減ができることです。
工事請負契約書を紙で作成した際には、収入印紙を貼る必要があります。
建設工事の場合、契約金額が300万円〜500万円未満なら1000円、500万円〜1,000万円未満なら5000円の収入印紙税が必要です。
契約数の多い企業によっては、年間で数百万円〜数千万円になることもあります。
他にも、書類作成の際にかかる人件費や印刷代、郵送代、保管費などが削減できるためメリットは大きいです。
業務の効率化
電子化によって業務の効率化を図ることができます。
書面での契約業務では、契約書の作成や、印刷、押印、封入、郵送などの業務が必要でした。
しかし、契約書の電子化によってこれらの業務はインターネット環境さえあれば完結できます。
書面では1ヶ月かかっていた契約が、最短1日で締結することが可能です。
加えて、工事内容の急な変更により契約内容を見直す場合でも電子契約なら押印なしですぐに変更することができます。
これらの作業効率化によって、よりスマートに仕事ができるようになるでしょう。
コンプライアンスの強化
工事請負契約書の電子化によってコンプライアンスの強化をすることができます。
電子化することによって、高いセキュリティ機能を持つデータセンターに情報を保存するため、書面よりも改ざんや漏えいのリスクは小さいです。
加えて、契約締結までの流れを一眼で可視化できるため書類チェックもスムーズになります。
情報漏えいや改ざんのリスクは書面によって起こることが多いためコンプライアンスの強化には電子化は有効です。
工事請負契約書の電子化をするデメリット
工事請負契約書の電子化をするデメリットは以下の3つです。
- 取引先への対応が必要
- 業務内容の変更による教育が必要
- サイバー攻撃の可能性がある
それぞれ解説していきます。
取引先への対応が必要
取引先によっては、「慣れている書面での契約がいい」、「操作が難しそうなので電子化はやりたくない」、「電子契約の管理が不安」などの理由で電子化が難しい事業者の方もいらっしゃいます。
そのため、電子化での契約を取引先にお願いする場合は丁寧な説明による電子化メリットの理解が必要です。
説明資料を作って郵送するなども良いでしょう。
業務内容の変更による教育が必要
紙の契約から電子契約へ変わることで業務内容も変わります。
これによって、従来の方法で業務していた社員の業務内容の変更が必要になるため、教育コストが掛かったり、社員が導入に消極的になることがあります。
出来るだけ使いやすい電子契約サービスを導入するのと、事前にわかりやすいマニュアルを用意して教育できる環境づくりをすることが必要でしょう。
サイバー攻撃の可能性がある
電子化したデータを保管するサーバーに対してサイバー攻撃があった場合に、データの流失や漏えいの可能性があります。
そのため、セキュリティに強い電子契約サービスを選ぶことが、サイバー攻撃のリスクを遠ざける第一の対策になります。
建設業界での電子契約の条件
建築業界での電子契約には3つの条件があります。
- 見読性
- 原本性
- 本人性
これらの条件を満たしていないと法律に反する契約書となる可能性があるため確認していきましょう。
1.見読性
見読性とは、電子化して保存された内容を、契約者からの要求によって肉眼で確認できる状態のことです。
よってクラウド上にデータを保管するだけでなく、契約者が見やすいようにわかりやすく表示させる必要があります。
2.原本性
原本性とは、電子契約書が改ざんされていないかを確認できる状態のことです。
公開鍵暗号方式という電子契約書の改ざんを防ぐ上で有効な暗号技術によって作成した電子署名を用いて、改ざんしていないことの証明を行います。
電子契約書のデータを暗号化する場合は「公開鍵」を、閲覧する場合は「秘密鍵」を用いてデータの複合を行います。
どちらも外部に漏れないような管理が必要です。
3.本人性
本人性とは、電子署名した人の本人確認がなされている状態のことです。
本人性を確認する際には、契約者のメールアドレスに送ったリンクをクリックしてもらったり、第三者機関が発行する電子証明書を用います。
工事請負契約書における電子契約の流れ
工事請負契約書における電子契約を導入する際に、自社で行う作業の流れとしては以下になります。
- 電子契約導入範囲の設定
- 電子契約サービスの導入
- 電子契約の社内ルール・マニュアル作成
それぞれ詳しく解説していきます。
電子契約導入範囲の設定
電子契約を導入する範囲の設定をします。
取引先との関係や、都合もある中でどの契約書の電子化を導入するのかを決めます。
自社での話し合いや、取引先とのコミュニケーションが必要です。
電子契約サービスの導入
契約書を電子化するにあたって必要な機能を備えた電子契約サービスを導入します。
社員の意見や、導入の規模に応じて最適なサービスを選定しましょう。
電子契約の社内ルール・マニュアル作成
導入した電子契約のルールや、担当者や取引先に対するマニュアルを
作成し、スムーズに導入できるように環境を整えます。
電子契約を導入する契約書の種類や、承認フロー、業務フローを決めておくことは起こりうるトラブルを可能な限り減らせるでしょう。
まとめ
今回は、建築現場での契約書を電子化するメリット・デメリットを電子化の条件や流れを含めて解説しました。迅速かつ効率的な契約プロセスを追求するなら、電子契約は優れた解決策です。その中でも「サインタイム」は特におすすめです。
「サインタイム」はシンプルで使いやすい電子サインのプラットフォームで、建設プロジェクトにおいて契約書の作成から署名までを効率的に行うことができます。セキュリティにも優れ、法律にも対応しているため法的効力を保証します。
取引先との円滑なコミュニケーションを実現し、面倒な印刷や郵送の手間から解放され、業務の進捗をスムーズにするために、「サインタイム」の活用を検討してみてください。