公開日:
更新日:
ペーパーレス化のメリット・デメリットとは?重要視される背景まで徹底解説!
目次
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の中で注目を集めています。その中でも特に、ペーパーレス化が重要なテーマの一つとなっています。本記事では、ペーパーレス化のメリットや、その背景にある重要性について解説していきます。
ペーパーレス化の現状
現在のペーパーレス化の現状として以下の3つがあります。
- 働き方改革により政府がペーパーレス化を推進
- SDGsの観点からも貢献につながる
- ペーパーレス化で地球環境の保護に
それぞれ解説していきます。
働き方改革により政府がペーパーレス化を推進
2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、働き方改革が政府主導で行われています。
加えて、「同一労働同一賃金」が2020年4月に大企業で、2021年4月に中小企業で導入され正規雇用と非正規雇用の待遇差の解消を推進中です。
ペーパーレス化によって、今まで書類での雑務に追われていた非正規雇用の業務が減少して、待遇差の解消の後押しにもなります。
リモートワークでもペーパーレス化によって、わざわざ書類業務のために会社にいく時間を割かなくて済むようにすることも可能です。
このようにペーパーレス化は働き方改革には必要な動きになるため、今まで以上に必要性が問われています。
SDGsの観点からも貢献につながる
ペーパーレス化はSDGsの観点からも貢献につながります。
例として、
「目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」→電力消費量の減少で達成
「目標8:働き甲斐も経済成長も」→作業効率の向上で達成
「目標12:つくる責任 つかう責任」→紙の消費量減少で達成
SDGsの目標を達成することで、企業イメージの向上にもつながります。
ペーパーレス化で地球環境の保護に
ペーパーレス化で地球環境の保護にもつながります。
印刷などによる紙の大量消費は木材の消費に直接つながるため、地球温暖化や生物系への影響も無視できません。
よってペーパーレス化によって紙の利用をできるだけ減らすことで、地球環境の保護に貢献できます。
DXとペーパーレスの関係や違い
DX(デジタルトランスフォーメーション)とペーパーレス化は、共通点がありますが、異なる概念です。
DXは、企業や組織がデジタル技術を活用して、業務プロセスの改善や顧客体験の向上などを実現するための取り組みを指します。
DXの目的は、業務プロセスの最適化や効率化、イノベーションの推進などです。
DXは、ペーパーレス化による効率化だけでなく、人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、IoTなどの最新技術を活用して、企業のビジネスモデルを変革し、新たなビジネス価値を創出することを目指します。
一方、ペーパーレス化は、企業や組織の業務プロセスにおいて、紙を使用しないようにすることを目的とした取り組みです。ペーパーレス化によって、印刷やファイリング、書類の保管や転送などの手間を削減することができます。ペーパーレス化は、DXの一部として実施されることがありますが、DXとは異なります。
つまり、DXはペーパーレス化を含む広範囲の取り組みであり、ペーパーレス化はDXの一部であるという関係性があります。
DXは、デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルを変革することを目的とし、ペーパーレス化は、業務プロセスにおける紙の使用を減らすことを目的としています。
近年ペーパーレスが増えている理由
近年、ペーパーレス化が増えている理由の一つに、電子帳簿保存法と電子インボイス制度の導入が挙げられます。
電子帳簿保存法は、企業や個人事業主などが帳簿を電子的に保存することを認めた法律です。
この法律によって、紙の帳簿を電子的に保存することができるようになりました。
このため、会計処理においては、従来は紙で行っていた帳票や請求書などの書類作成・保管を大幅に削減することができるようになりました。
また、電子インボイス制度は、紙の請求書に代わって、電子的な請求書の使用を推進する制度です。
この制度によって、企業や事業者は請求書の発行や受領に必要な書類を電子的にやり取りすることができます。
これにより、紙の請求書に伴う印刷や配送のコストや手間が削減できるだけでなく、請求書の管理や処理も効率化されます。
このように、電子帳簿保存法や電子インボイス制度の導入によって、ペーパーレス化が進んでいます。
これによって、企業や事業者は業務プロセスの効率化やコスト削減、環境への配慮などのメリットを享受することができるようになりました。
さらに詳しく!電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、日本において企業が電子化した帳簿を、紙の帳簿に代わって法的に保存できるようにする法律です。2001年に制定され、2009年に改正されました。
従来、企業は帳簿を紙で作成し、一定期間保管することが求められていましたが、電子帳簿保存法の制定により、電子的に作成された帳簿を電子的な形態で保管出来るようになりました。これにより、紙の帳簿を保存するためのスペースやコストを削減することが可能です。
ただし電子帳簿保存法には厳格な要件があります。
電子帳簿は原則としてPDFやXML形式で保存する必要があり、保存場所や保存期間、保存方法、保全方法などについても詳細なルールが定められています。
これらの要件を守ることで、電子帳簿の法的な保存が認められます。
電子帳簿保存法は、企業の業務プロセスの効率化やコスト削減に貢献すると同時に、環境保護にもつながる重要な法律となっています。
さらに詳しく!電子インボイス制度とは?
電子インボイス制度とは、企業間取引における請求書を紙から電子データに置き換えることで、業務プロセスの効率化やコスト削減を図る制度です。
日本では2019年に電子インボイスの導入が義務化され、2023年には全ての企業が電子インボイスを導入することが義務づけられる予定です。
従来、企業間の取引においては、請求書は紙で発行・送付されることが一般的でした。
しかし、紙の請求書は発行から受領までの時間やコストがかかるうえ、請求書の紛失や誤字脱字などの問題も起こりえます。
こうした課題を解決するため、電子インボイス制度が導入されました。
電子インボイスには、標準フォーマットがあらかじめ定められており、企業はこれに沿って請求書を作成・送信可能です。
また、電子インボイスは電子署名などの技術によって信頼性が高められ、紙の請求書と同様に法的な効力が認められています。
電子インボイス制度により、企業は請求書の発行・送付にかかるコストや時間を削減することができるほか、誤字脱字などのミスが減り、取引相手とのトラブルを防ぐことができます。
また、取引相手との情報共有やデータの活用など、ビジネスの機会拡大にもつながるとされています。
ペーパーレスを導入するメリット
ペーパーレスを導入することには、以下のようなメリットがあります。
- コスト削減
- 業務プロセスの効率化
- 環境への配慮
- 情報管理の強化
- ワークスタイルの改善
- コンプライアンスの強化
企業や組織は、これらのメリットを享受するために、積極的にペーパーレス化を進めることが求められています。
それぞれ解説していきます。
コスト削減
ペーパーレス化によって、印刷や郵送にかかるコストを大幅に削減することができます。印刷物やコピーの需要が減少し、紙やインクの購入費用が低減し、印刷機器のメンテナンス費用も節約できます。
さらに、電子メールやデジタルフォームを活用することで、郵送にかかる費用や郵送料を削減することができます。また、デジタルファイルをクラウドストレージに保存することで、物理的なファイル保管スペースを必要としないため、保管コストも削減されます。
業務プロセスの効率化
デジタル化により、紙で行っていた書類の作成や保管、配送などの手間がなくなるため、業務プロセスの効率化が図れます。特に、電子化によって業務が迅速化し、生産性の向上に繋がることがあります。
また、ワークフローの自動化により、タスクの承認、通知、リマインダーなどが自動的に処理され、業務プロセスの迅速化と正確性の向上が期待できます。クラウドベースの共有ツールを使用することで、複数の人がリアルタイムで文書を共有し、同時に編集やコメントを行えるため、コラボレーションが円滑に進みます。
環境への配慮
紙の使用量を減らすことによって、森林の保護や二酸化炭素排出量の削減など、環境保護に貢献することができます。
また、デジタルファイルの使用により、印刷や郵送に伴う廃棄物の削減が期待されます。クラウドストレージや電子文書の利用は、環境にやさしいプラクティスを推進する一環となります。
情報管理の強化
ペーパーレス化によって、書類の保管や検索が容易になり、情報管理の強化が図れます。デジタルアーカイブを整備することで、文書を適切にタグ付けやフォルダ分けして整理し、必要な情報を迅速に見つけることができます。
また、キーワードやメタデータを活用してデジタル文書を検索し、必要な情報へのアクセスが容易になります。災害時にもデータの保全が容易になることがあります。
ワークスタイルの改善
ペーパーレス化により、柔軟なワークスタイルを実現することが可能です。デジタルツールを使うことで、場所や時間に縛られずに業務を行うことができます。また、ペーパーレス化によって、必要書類をどこからでも閲覧できる環境作りが可能になるため、リモートワーク・在宅勤務にも対応できるようになります。
また、オンライン共有カレンダーやタスク管理ツールを活用することで、スケジュール調整やタスク管理が効率的に行えるようになり、ワークライフバランスが改善されます。書類の押印のためだけに会社に出向するような非効率なことは無くなります。
コンプライアンスの強化
ペーパーレス化は紙での書類の管理がなくなるため、コンプライアンスの強化にもつながります。
電子化した書類は、紛失や物理的な漏洩のリスクがなくなることに加えて、ファイルにパスワードをつけることでアクセス権限を設定できます。これによって情報へのセキュリティが厚くなり、コンプライアンスの強化につながります。
また、デジタルトランザクションや承認プロセスの監査トレイルを記録することで、コンプライアンスの証跡を維持しやすくなります。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化にはメリットだけではありません。
デメリットを把握した上で導入を検討しましょう。
- 導入コスト
- 教育コスト
- セキュリティ対策
それぞれ解説していきます。
導入コスト
ペーパーレス化には、用途に応じたツールやサーバー、スキャナー、端末などの導入コストがかかります。これにはデジタルツールやソフトウェアの購入、ハードウェアのアップグレード、データ移行などが含まれます。
しかし、導入コストは長期的なコスト削減と効率化によるリターンオンインベストメント(ROI)を迎える可能性があります。デジタル化により印刷や郵送コストが減少し、物理的なファイル保管スペースも不要になるため、これらの削減が導入コストを上回ることがあります。
初期投資が必要なので、社内でかかる費用や工程について検討して判断することが必要です。それぞれにかかるコストをリストアップし、納得した上で導入しましょう。
教育コスト
ペーパーレス化によって、新しいデジタルツールやワークフローに従うために、従業員への教育コストがかかります。しかし、適切なトレーニングやサポートを提供することで、従業員は新しいツールやプロセスをスムーズに受け入れることができます。
トレーニングプログラムやオンラインリソースを活用して、デジタルツールの効果的な使用法や利点を従業員に伝えることができます。教育コストは、従業員のスキル向上と生産性向上につながる可能性があります。
ITリテラシーが必要な作業になるので、誰にでも簡単に利用できるツールを導入するか、社内でわかりやすいマニュアルを共有する必要があります。従業員の作業効率が落ちたら元も子もないので、教育期間を設けたり、わからない時にサポートする体制を作りましょう。
セキュリティ対策
メリットでコンプライアンス強化を上げましたが、逆にIDやパスワードの漏洩やメールの送信ミスにより情報が外部に漏れるリスクもあります。また、サーバーダウンや災害時のインターネットにトラブルがあった際に一時的にアクセスできなくなることもあります。そういったトラブルを想定して対策をあらかじめ立てておく事が重要です。
セキュリティ対策としては、強力なパスワードポリシーの導入、二要素認証の使用、データの暗号化、アクセス制御の実施などがあります。また、定期的なセキュリティ監査やトレーニングを通じて、従業員がセキュリティ意識を高めることが重要です。
適切なセキュリティ対策を実施することで、データ漏洩や不正アクセスのリスクを軽減し、信頼性の高い環境を構築できます。
まとめ
ペーパーレス化には、紙を使用しないことによる環境面でのメリットや、業務プロセスの効率化・コスト削減などの経済的メリットがあります。
DX推進の中でペーパーレス化が重要視される背景には、社会のデジタル化に伴うニーズの増加や法改正による電子化の推進などが挙げられます。
ペーパーレス化には導入コストや環境面でのデメリットも存在するため、事前の評価や導入計画の策定が重要です。
サインタイムでは電子契約サービスをメインに扱っていますが、請求書・見積書・同意書など汎用的に使えるサービスです。
ペーパーレス化に取り組むことで、企業・組織の持続可能な発展に貢献することができるでしょう。
契約書や申込書の署名依頼なら、サインタイムの電子契約サービス。
メールや紙で受領した書類の電子保管なら、サインタイムのスキャナ保存サービス。
ペーパーレス化におけるトータルソリューション「サインタイム」、まずはお気軽にご相談ください。