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ペーパーレス化の導入方法と成功事例【注意点や利用できるサービスもまとめて解説】
目次
2019年の働き方改革から社会全体でペーパーレス化の動きが進んでいます。加えて2022年1月に施行された電子帳簿保存法により、制度を活用した経理のデジタル化による生産性の向上が期待されます。
テレワークやリモートワーク、在宅勤務などでも、今までの紙媒体での手続きや業務では効率的とは言えません。社内でペーパーレス化を進めたいという事業者も多いのではないでしょうか?
しかし、今まで紙で管理していた書類をいきなり全て電子化するのは大変です。
そこで今回の記事では、社内でペーパーレス化を進める効果的な方法を、ペーパーレス化のメリット・デメリットや、注意点や悩みも交えながら解説していきます。
ペーパーレス化を検討している事業者や担当の方はぜひ参考にしてみてください。
ペーパーレス化とは?
ペーパーレス化とは、ビジネスプロセスや個人的な生活において、紙を使用せずに電子的なドキュメントや情報を扱うことです。具体的には、書類の印刷やファイリング、書類の保管や転送、文書の検索や管理などにおいて、ペーパーレス化を実施することで、業務効率の向上やコストの削減、環境への配慮などのメリットが期待されます。
例えば、紙の書類を電子化することで、スキャンしたPDFファイルなどを利用することができるようになり、オンライン共有やクラウドストレージへのアップロードなどが容易になります。
また、ペーパーレス化は、データのセキュリティやプライバシーの確保などの面でも重要です。電子化した書類は、紛失や物理的な漏洩のリスクがなくなることに加えて、ファイルにパスワード等でアクセス権限を設定できるため、情報へのセキュリティが厚くなります。
ペーパーレス化の必要性
ペーパーレス化は、ビジネスの効率化、環境保全、政府の法整備において必要不可欠な取り組みです。ビジネスにおいては、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、紙ベースのプロセスを変革することで競争力を強化します。
環境面では、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するため、木材の過剰消費を防ぎ、地球環境を保護します。政府は電子帳簿保存法やe-文書法などの法整備を進め、テレワークや柔軟な働き方を支援します。
これらの背景から、ペーパーレス化はサステナビリティを追求し、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとなっています。
ペーパーレス化が進まない原因
日本においてペーパーレス化がなかなか進まない原因や、ペーパーレス化導入についての悩みを紹介します。
PCが使えない世代が多いため導入しづらい
PCが使えない世代が多いため、ペーパーレス化を導入しづらいこともあるようです。
解決策としては、PCを普段使わない人でも利用できるようなツールの導入やタブレットでのペーパーレス化を行うことです。またはマニュアルを作ってサポート部門なども設け会社全体で取り組むことも効果的です。
紙業務に慣れている従業員が多いので消極的
紙業務に慣れている従業員が多いので消極的という悩みもあるようです。
解決策としては、ペーパーレス化による業務の効率化や、コスト削減による勤務時間や給与体制の見直しなどによる数字が見えるメリットを提示することがあげられます。
経営層の判断だけでペーパーレス化を進めてしまうと、どうしてもこの事例が起きるため注意しましょう。
ITリテラシーの知識がないと難しい
ITリテラシーの知識がないと難しいのではないかという悩みがあります。
しかし、ペーパーレス化自体はITリテラシーがなかったとしても問題ありません。管理者側に専門知識を持つ人がいれば導入自体は難しくないので、利用しやすいツールやシステムを導入しましょう。
ペーパーレス化のメリット・デメリット
ペーパーレス化にはメリットだけでなく、導入コストや環境面でのデメリットも存在するため、事前にメリット・デメリットを検証し、スムーズな導入計画の策定が重要です。
ペーパーレス化を推進していくにあたって、経営幹部や役職者にはデジタル化の重要性を説明し、その後従業員にも丁寧にデジタル化の目的やメリットを共有します。企業全体でデジタル化の必要性を理解し、段階的に推進することがポイントとなります。
メリット
企業や組織は、ペーパーレスを導入すると以下のような6つのメリットがあります。
- コスト削減
- 業務プロセスの効率化
- 環境への配慮
- 情報管理の強化
- ワークスタイルの改善
- コンプライアンスの強化
これにより、企業や組織は競争力を強化し、持続可能な社会の実現に寄与するため、ペーパーレス化を進めることが求められています。
デメリット
ペーパーレス化のデメリットには、以下の3つのデメリットが挙げられます。
- 導入コスト
- 教育コスト
- セキュリティ対策
用途に応じたツールやサーバー、スキャナー、端末などの初期投資が必要であり、従業員へのITリテラシー向上のための教育コストが発生します。また、情報漏洩やトラブルへの対策も重要です。
これらのメリットとデメリットについて、具体的にどんなことができるのか、何が改善できるのかさらに詳しく記事にしていますので、こちらもチェックしてみてください。ペーパーレス化のメリット・デメリットとは?重要視される背景まで徹底解説!
ペーパーレス化の導入を検討する際には、リストアップされた各項目についてよく考慮することが必要です。ペーパーレス化を進めることで業務効率化やコンプライアンス強化に貢献できる反面、適切な対策を講じる必要があることも理解しておきましょう。
ペーパーレス化の方法・種類
ペーパーレス化は、紙媒体の文書や資料を電子データとして保存・管理する取り組みを指します。ビジネス分野では、契約書、申請承認書類、経理資料、会議資料など、従来は紙で作成・保管していた書類を電子データとして作成・保管することを意味します。
スキャニングと光学文字認識(OCR)によるデジタル変換、電子署名とデジタル承認の採用、クラウドストレージと共有プラットフォームの利用、ワークフローオートメーションの導入などが代表的な方法です。
この取り組みにより、紙の印刷や保管に関わるコストを削減するだけでなく、文書の検索・共有・編集が容易になり、業務効率化を実現できます。
以下では、代表的なペーパーレス化の方法を4つご紹介します。
クラウド保存
ビジネス文書の管理にはクラウド保存がよく用いられます。GoogleドライブやOne Driveなどのクラウドストレージを利用することで、ファイルのインターネット上での保管や共有がスムーズに行えます。このため、社内の資料に簡単にアクセスできるだけでなく、共有の際にメール送信を不要とする利点もあります。
OCR(光学的文字認識)
OCRとは書類などの文字をカメラやイメージスキャナで読み取り、データ化する方法です。OCRを活用することで、書類の文字をカメラやイメージスキャナで読み取って、PDFファイルなどで保存することができます。これにより、手書き書類の電子化も可能ですが、精度には注意が必要です。
文書管理システム
デジタル文書の効果的な管理を可能にするために、専用の文書管理ツールやデータベースの導入があります。これにより、データ化された文書を一元管理でき、文書の整理や検索が容易に行えるほか、作業効率も向上します。
特に、クラウド文書管理システムでは請求書や納品書、契約書などを紐づけて管理・検索する機能も備わっています。これにより、国税関係書類のペーパーレス化も容易になります。さらに、データのバックアップと復旧策も講じることで、万が一の際にも大切な情報を保護します。
スキャニングサービス
文書のスキャニングやファイル名付与などを専門業者が行うスキャニングサービスもあります。このサービスでは、専門業者が文書のスキャニングやファイル名付与などを行い、紙の書類を電子化します。これにより、文書の検索や確認が簡便になります。特に、人手不足や大量の書類を迅速に電子化したい場合に有用です。
ペーパーレス化の導入方法・流れ
ペーパーレス化の導入方法は、段階的に進めていくことが重要です。まずは社内で、デジタル化の必要性を経営幹部や役職者に説明し、その後従業員にも丁寧にデジタル化の目的や利点を共有します。企業全体でデジタル化の必要性を理解し、段階的に推進することがポイントとなります。
ペーパーレス化の具体的な導入の流れは次のようになります。
- 電子データの管理方法を決める
- 紙の資料をデータ化する
- 紙から電子データの運用に移行する
それぞれ解説していきます。
電子データの管理方法を決める
電子データの管理方法を決めましょう。
具体的には、わかりやすいフォルダを構成したり、ファイル名のルールを決めたり、データへのアクセス権限を設定したりします。管理しやすいように社内で話し合った上で決定しましょう。
またペーパーレス化を実現するためには、適切なデジタル化ツールやソフトウェアの選定が必要です。文書管理システム、電子署名ツール、データ共有プラットフォームなどを検討します。
紙の資料をデータ化する
紙の資料をデータ化していきます。
データ化するには電子スキャナが便利でしょう。
しかし、全ての紙の資料を電子スキャナでデータ化するのは大変なので、データ化を委託する方法もあります。
便利なサービスがたくさんあるので、データ化するのが面倒な際は検討しましょう。
関連:書類整理のアイデア3選|書類管理のデメリットや電子化で得られるメリットは?
電子帳簿保存法によって改正されたスキャナ保存制度
スキャナでの保存には電子帳簿保存法が関係してきます。
2021年の改正により、スキャナ保存の手続き・要件が緩和されてより電子化しやすくなりました。
加えてデータの改ざん等の不正への罰則が強化されたため、より安心して利用できます。
紙から電子データの運用に移行する
紙で運用している書類を電子データでの運用に移行しましょう。
電子ワークフローシステムを導入すると便利です。
電子ワークフローシステムによって、申請書や見積書、経費精算などの情報をシステム上で入力することで、社内での手続きは全てペーパーレス化できます。これによって業務効率化にもつながります。
ペーパーレス化のプロジェクトは、組織内の業務プロセスや文化に影響を及ぼす重要な取り組みです。しかし、成功するためには、いくつかのポイントに留意する必要があります。
ペーパーレス化の導入段階から、運用段階までのステップを理解し、失敗を避けるための効果的かつ具体的な手法をステップ・バイ・ステップで別の記事にまとめてありますので、こちらからご参考ください。
関連: 【初心者向け】失敗しないペーパーレスの進め方は?成功へのポイントを解説
ペーパーレス化の効果と事例
ペーパーレス化に取り組んでいる企業やサービスは、様々な業界で展開されています。以下にいくつかの事例を挙げます。
以下のサービスは、ペーパーレス化に取り組む企業や組織にとって、業務プロセスの効率化やコスト削減などのメリットを提供するだけでなく、環境への貢献や情報セキュリティの向上などの効果も期待できます。
電子契約サービス
電子契約サービスは、紙の契約書や同意書を電子的に作成・署名できるようにするサービスです。これにより、業務プロセスをスピーディーかつ効率的にすることができます。
導入会社の成功事例についてさらに詳しく知りたい方は、こちらから電子契約サービス導入の事例をご覧いただけます。
電子請求書サービス
電子請求書サービスは、請求書の発行から受領までをオンライン上で行えるようにしたサービスです。これにより、紙の請求書を作成する手間やコストを削減できます。
電子カルテサービス
電子カルテサービスは、医療現場での患者情報管理を電子化するサービスです。これにより、紙のカルテを保管・管理する手間やスペースの確保を削減できます。
クラウドストレージサービス
クラウドストレージサービスは、データや書類の保管・共有をオンライン上で行うことができるサービスです。これにより、書類の保管スペースを削減できます。
電子証明書サービス
電子証明書サービスは、オンライン上での取引や情報交換において、安全かつ信頼性の高い認証を提供するサービスです。これにより、紙の書類による手続きや認証を削減できます。
ペーパーレス化のポイントと注意点
ペーパーレス化を進めていく上で、重要なポイントと注意点として3つあります。ペーパーレス化は社員や従業員の理解を得ることが最も重要です。社員の負担や業務の支障にならないように、慎重に進めていきましょう。
- 従業員への理解を得る
- 全てがペーパーレス化できるわけではない
- 災害時やシステム障害時の対応
それぞれ把握して注意していきましょう。
従業員への理解を得る
従業員が紙での書類に慣れている場合に、ペーパーレス化導入に尻込みする可能性があります。
ペーパーレス化を導入する際には、経営層だけではなく担当する従業員含めた理解を得る事が大切です。
現場の声も聞きながら、慎重にペーパーレス化していきましょう。
全てがペーパーレス化できるわけではない
全てが一度にペーパーレス化できることが理想ですが、そうともいきません。
まだ紙での保存が義務付けられている公的書類などもあるため、引き続き紙での業務も残ります。
ペーパーレス化できた書類と、紙の書類両方の管理を行っていきましょう。
災害時やシステム障害時の対応
ペーパーレス化した場合、災害時やシステム障害時の対応も必要になります。
対応策として、データをバックアップして非常時に切り替えて運用できる環境を構築しておくことや、クラウドサーバーを用いるなどの対応が可能です。
社内で起きうるトラブルを洗い出して、それにあらかじめ備えることでリスクを減らせます。
ペーパーレス化のサービス・サポート
一般的にペーパーレス化に関連するサポートや、活用できるサービスは多岐にわたります。ペーパーレス化のツールやサービスを利用するためには、社内で適切なポリシーを策定することが不可欠です。データの保管や共有に際しては、文書のアクセス権限や共有範囲を明確に定義し、セキュリティと効率の両面から運用を管理することが求められます。
また、データのセキュリティを確保するためには、従業員へのセキュリティトレーニングや、アクセス制御、暗号化技術の導入が必要です。さらに、ワークフローの最適化を図り、プロセスの合理化や効率化を支援するサービスも提供されています。
文書管理ツール・ソフトウェア
デジタル文書の効果的な管理を可能にするために、専用の文書管理ツールやデータベースの導入があります。これにより、文書の整理や検索が容易に行えるほか、作業効率も向上します。
さらに、ペーパーレス化をサポートするための電子文書管理ソフトウェアやクラウドストレージアプリケーションも活用できます。例えば、GoogleドライブやMicrosoft OneDriveなどがあります。
コンサルティングサービス
企業や組織がペーパーレス化を進める際に、コンサルティングサービスを活用できます。コンサルティングサービスでは、適切な戦略の立案や実施計画の作成、システム導入のサポートなどを行い、ペーパーレス化をサポートしてくれます。
ドキュメントスキャンサービス
企業や組織が持つ紙の文書を電子化するためのスキャンサービスを提供する会社があります。スキャンサービスでは、大量の文書を高品質でスキャンしてデジタルデータに変換してくれます。
電子署名サービス
法的に有効な電子署名を提供するサービスがあります。これにより、紙の文書に必要な署名を電子的に行うことができます。弊社が提供しているサービスもこちらの分類になります。
- サインタイム – コスパNo.1の電子契約サービス
データセキュリティサービス
ペーパーレス化に伴うデータ漏洩やセキュリティ侵害から文書を保護するためには、データセキュリティ対策を提供する企業を活用することもできます。
これらの企業は、暗号化、アクセス制御、定期的な監査などを通じて信頼性の高いソリューションを提供しており、ペーパーレス化に伴うデータのセキュリティを高め、コンプライアンスを強化することができます。
まとめ
今回の記事では、社内でペーパーレス化を進める効果的な方法についてご紹介しました。これらの対策を総合的に講じることで、ペーパーレス化による効果を最大限に引き出すことができます。
これから会社を運営していく中でペーパーレス化は遅かれ早かれ必須になります。ペーパーレス化の対応を先延ばしにして、業務の非効率化に繋がらないためにも早めのうちから検討するべきです。
電子契約サービスとスキャナ保存を提供しているサインタイムでは、それぞれのお客様にあったペーパーレス化のお手伝いをさせていただいております。 ペーパーレス化を進めたいけど何から始めればいいか分からないという方は、お気軽にご相談ください。